ねぎらいの春に
3月は年度の切り替わりタイミング。様々なライフイベントにより新しい環境へ旅立つ季節でもあります。これをお読みいただいている方々の中にも、この春、お子さんの卒園・卒業を迎えられる親御さんもいらっしゃることでしょう。おめでとうございます。慌ただしい日々の中では、毎日一緒に過ごしていながらお子さんの成長に気づけないことも多いです。この節目の時にあらためて振り返ってみませんか?ずいぶん成長したよね!と感慨深いことでしょう。
大切にしていること
- 子育てで大切にしていることは何ですか?
お子さんが生まれてから、ご自身やパートナーと「大切にしたいこと」についてこれまで考えたり、話し合ったりしたことがありますでしょうか?
先日、目にした記事の中で私(田中優美子)がなるほど!と、とても共感し、皆さまにも分かち合いたいと思ったことがあります。
それは、『世界で活躍するようなアスリートはどのように育てられたのか?』というテーマ。
確かに、自分の夢を叶えるために世界に羽ばたいて、活躍し続けている。そのような超一流選手になれる秘訣があるなら、知りたいと思いますよね。私も、です(笑)。もちろん、本人のもともとの体形も含めた遺伝的要素、資質や環境の影響は大きいでしょう。その環境の中でも、『親が子どもにどう関わったのか?』これはとても興味深いことです。
その共通点としてあげられていたことは2つ
1.子どもの意見を聞かずに叱らない
2.否定しない
とてもシンプルで大切なことです。私たち親はついつい、親の価値観や意見で子どもに接したり、従わせようとしたりします。話を聞いたり、対話したりすることは時間もエネルギーもかかります。親は忍耐力も必要。だから短期的には、怒って従わせたり、親が思うようにコントロールした方がラクだし、早い。でもそうすると、だんだん子どもは自信を失って、親の顔色をうかがうようになる。自ら考えないし、意見を言わなくなります。長期的にみると残念な未来が見えます。
『自分の考えたことを言ってもいい。認めてもらえる!』
家庭の中で、のびのびと、堂々と意見をいえることが、学校や社会でも自分らしく在れることのはじまりなのだと改めて感じました。
しないと決めていること
- 子育てで何をしないと決めていますか?
昔の親は、何をしてやろうかと考えた。けれどいまの親の愛情は『何をしないか』を考えなければならない。
河合隼雄氏/教育心理学者
たしかに今は、いかに子どもの将来のためにと、小さい頃からいくつもの習い事をさせてあげる。塾に通わせること。など、親の方が熱心にしてあげたい。やってあげたい。もっというと、「こうしなさい。」と決めてあげる。ということもあるようです。実際、私も親子でのご相談を受けた際に、お子さんにお聞きした質問なのに、同席していたお母さんが答えてくださる…という場面がありました。「お子さんはお子さんなりに考えていますから、待ちましょう。」とお願いしたことがあります。
では、わが家はどうなのか?というと、コーチングを学んだことにより、しっかりと子どもの話を聴こう。どんな答えもいったん受け止める。という姿勢(できない時もありました)と努力は続けています。
現在、大学生として成人となった娘に対して、私たちが「しなかったこと。」
それは、親の価値観や意見を押し付けること。です。振り返ると、通う保育園、習い事、ピアノ教室の先生、高校・大学の進路など、選択肢を一緒に調べたり、実際に連れて行って体験させたり。迷っているときの話し相手になるなど、求められたときはとことん付き合いました。
ですが、これらの意思決定。小さい頃から現在に至るまで、すべて子ども自身が最後は決めていました。それは、主体的に自分で自分の人生を切り開いていける人になって欲しいという願いがあるからです。
ねぎらいの春に
では、あらためて考えてみませんか?
-
子育てで大切にしたいことは何ですか?
子育てで「しないこと」はなんですか?
「大切にしたいこと」・「しないこと」それらのことに近づくような、小さな行動習慣を取り入れてみてくださいね。
この春休み。家族旅行やお祝いのごちそうを囲むような場で、お子さん自身ががんばったと認めていること、お子さん自身が気ついていない良さやすばらしさなどを、家族で語らい合える時間を持つこともおすすめします。(伝えるときは、お子さんの受け取りやすい方法で)
お子さん自身が気づいていなかったことを伝えてあげられること、近くにいる大人からのとても大切なプレゼントです!
親御さんもここまで育ててきた、ご自身をねぎらうこともお忘れなく!
ご家族でのすてきな思い出が増える春となりますように。